三谷プロタイピングポートフォリオ

CASE08

「たくさんの子どもたちを受付するAI」

受付システム
AI

AIが受付システムを擬人化することで、楽しく確実に受付が行われる

子どもたちが利用できるシンプルさで、人間よりもきめ細かい受付システム

画面利用イメージ

10代の子どもたちがテクノロジーを使って遊ぶ・作る・表現するための場を提供する「ミミミラボ※」は、金沢を創業の地とする三谷産業株式会社と、テクノロジー教育の普及を目指すNPO法人みんなのコードが共同運営しています。プログラミングロボット、3Dプリンタ、グラフィックや映像、楽曲制作ができるソフトなど、最新のデジタル関連設備に加え、少し大人のメンターたちが支援しながら、子どもたちが楽しみながらも自律的にテクノロジーに触れられる場を提供しています。
「今日は何をしようかな」と期待に胸を膨らませて来る子どもたちは、まさに自由奔放。子どもたちを預かるオトナから見ればとても大切なはずの、入退場記録の重要性などお構いなし。そのため来場受付や入退室記録の徹底が課題でしたが、ノートへの記帳よりも子どもたちがすすんで利用してくれたのが、今回プロトタイピングした「受付AI」でした。

紙を使わずデジタル化する + キャラクターとAIによるUXの向上

初回の利用登録後に、子どもたち自身がつくった自分のカードを端末にかざして使います。来場時や帰宅時に、受付AIのデジタルキャラクターが、子どもたちに挨拶や声掛けをし、ちょっとした話題(「今日のラッキーカラーは?」「今日は何をつくる?」「暗くなる前におうちに帰ろうね!」など)を提供してくれることで、対面での受付のような感覚が得られ、子どもたちがほぼ確実に受付をしてくれるようになりました。
利用するのは子どもたちということもあり、ロールプレイングゲームでのキャラクターとの会話のようなUIを提供するなどの工夫を凝らしました。また、子どもたちがラボの機材でデザインした別のキャラクターに差し替えるなど、子どもたちも参加するプロトタイピングとなりました。
テスト利用のつもりでしたが、もう子どもたちの世界に当たり前のように溶け込んでおり、毎日30~40名の子どもを受付AIが迎え入れています。また、ミミミラボ側としては、受付業務が簡便化されただけでなく、来場者のデータが確実に得られるようになり、今後は、今日の感想などを音声認識で収集することで、より満足度の高いサービスの提供につなげていくことも期待しています。

受付の様子

このプロトタイプに期待している価値

小中学校では、教職員が児童・生徒の学校での様子を見たり、話を聞いたりしながら、朝の出欠確認から下校まで学校生活を見守っています。一方で、労働環境の改善が必要な教職員の代わりを「生成AI」が担えないかと検討していた中、普段からゲームキャラクターに接する機会が多い子どもたちは、大人と比較して、人に接するように自然と生成AIを受け入れることが分かりました。

現在、小中学生の一人ひとりに配布されているタブレット端末と生成AIの掛け合わせにより子どもたちの気持ちや状態をデータとして得ることができれば、より児童・生徒に寄り添った教育環境の整備が可能になるかもしれません。

(情報システム事業部 公共営業部 森岡 正樹)