三谷産業は創業当時、石炭の卸売を行っていました。あるとき、創業者の三谷進三は、お客さまの貯炭場に積まれた石炭の山を見て、「果たして本当にこれだけ必要なのか」と疑問を持ちました。そこで、お客さまの生産計画や設備を見て、専門的な見地からボイラーの燃焼効率などを計算、必要十分な量を見極め、最適な量をお届けしました。たとえ自らの売上の嵩が減ったとしても。そして、お客さまに喜んでいただいたことを、我が事のように喜びました。結果的に、お客さまとの強い信頼関係を築くきっかけとなり、長期にわたるお付き合いにつながっていきました。これが、現在まで90年以上受け継がれる三谷イズムの原点です。
1993年に現地調査を開始、翌94年に事業をスタート。日系を含め外資系企業がほとんどいない時代に、手探りの状態から三谷産業はベトナムでの事業に着手しました。以来およそ四半世紀にわたり、同地で事業を続けながら、文化や社会規範を学ぶとともにネットワークを拡大。現在ではベトナムに子会社7社、社員2,400人超の規模となっています。最近は日系企業の進出先として注目の多いベトナムですが、三谷産業にとっては第二の故郷のように根付いています。
戦後初期。時代の変化によって石炭が売り物にならなくなると、三谷産業は祖業を失いました。しかし、そこで活路となったのが、石炭のお客さまとの関係から新たに生まれていた化学品の事業でした。この経験から、三谷産業はあえて自分たちが「何屋」であるかを規定せず、枠にとらわれない道を選んできました。この姿勢が組織にも人にも受け継がれ、分野や国を分ける境界線は、実線ではなく点線のように薄くなっています。それが、現在の6事業分野、多様な事業形態、日越系企業への広がりを生んでいます。
10年かけて‘人財'を育てる。それが、三谷産業の方針。活躍の機会は、10年も待たずして与えられ経営陣との距離も近いことから、若手でも責任ある仕事を任されます。そして、その過程に寄り添いながら、次なるステップアップのための気付きや機会を提供、10年にわたり成長を後押ししています。毎年行うグループ全社プレゼン大会では、若手を中心として目覚ましい成果が発表され、社内に活力とインスピレーションを生み出しています。
「あなたは社員である前に、ひとりの人間である」。これは、2017年に使用していた三谷産業の広告コピーです。社員一人ひとりが、異なる家族、友人、趣味、価値観を持ち、それぞれの人生を送ってきます。そして、その人生において、不安なく、充実して生活できることが不可欠と、三谷産業は考えます。例えば、子女の大学学費を最大で全額支給する奨学手当制度、自然災害等の事態に社員・家族を守る非常用セットの完備、育児や介護と仕事の両立を支える柔軟な働き方制度――三谷産業は、さまざまな施策を通じて、社員の人生を支えています。